濃硫酸とラウリルアルコールを反応させる温度は、室温でもよいが、夏期の温度に揃えると季節によらず実験時間がほぼ一定になる。但し、反応温度が高過ぎると、中和後のぺ一スト状のものが粉末になりにくい。粉末にならないこともある。硫酸のジエステルができるためと推定される。
中和に用いる炭酸水素ナトリウムの量は過剰である。炭酸水素ナトリウムの量が当量付近だと、粉末になりにくい。炭酸水素ナトリウムの量が過剰であるため、合成した洗剤の水溶液のpHは7.5-8.5である。しかし、手に濃厚溶液を付けても強アルカリ性水溶液の場合に見られるぬるぬるした感じは全くない。
温水にはよく溶けるが冷水へは溶けにくい。この洗剤の洗浄力は市販の粉末洗剤には劣る、と評価した学生と、市販品にそれほど劣らない、と評価した学生の数はほぼ同数であった。香料としては、純粋な有香試薬よりも香粧品の方が好評であった。
合成した洗剤の外見は、全くと言っていいほど市販品と変わらない。そのため、学生、生徒は自分で合成洗剤を合成したとの実感をもつことができる。全実験時間は40分程度である。
(化学と教育,42, 856 (1994).よりの抜粋)